『ポケモンは タイプに よって
とくいな タイプ
にがてな タイプが いるなり』
「これってポケモンはヒトと似ているってことだよね」
「どういうことだよ」
私の隣で相棒のピカとじゃれているレッドには意味が分からないらしい。オーキド博士が不在の今、研究員がちらほらと現れる他、私とレッド以外の人は居なかった。オーキド博士に用があって来てみたのだがクルミちゃんのラジオの収録がどうやら遅れているらしく予定通りに帰ってこられなくなったのだとグリーンのお姉さんは言っていた。
そしてオーキド博士が帰ってくるまでにちょっとした暇潰し。あまり分からないものには触らないようにとレッドに忠告を告げた後に難しい本などにさらっと手をつけた。ときにレッドが壁にかかって掛け軸を指差して私を呼んで今に至る。
「ヒトだって誰しも好みのタイプがあるでしょ?そういうことよ」
「例えば?」
質問ばっかり。ポケモン馬鹿なこいつはどうやらポケモン<それ>関係には本当興味津々らしい。そしてそんなレッドの仕草を真似しているのかピカも彼の肩の上で私を見るのだから可愛いよなぁなんて思ったり。
「うーん…。私個人的にはポケモンだいすきクラブの会長さんとはうまが合わないからポケモンだったら苦手なタイプかもね」
「じゃあ、会長さんの攻撃はこうかばつぐん?」
ピーカ?ふたりして首を傾げるので私はまさかと笑って返す。まずポケモンだいすきクラブの会長さんは幾らなんでも攻撃なんてことはしないだろう。せいぜい泣いて詫びて媚びる、……どの姿も想像できてしまうのが恐ろしいね。
「あんなおじいさんの攻撃なんて例えこうかばつぐんだろうとちょっとの痛みだよ、多分。てか今のは例で私らがポケモンになれるわけ」
「それが、マサキならできるんだよなー。一番最初出会ったときオニドリルに追っかけられていたマサキは見た目がまんまコラッタだったんだぜ?」
「そ、それで?どうしてヒトに戻っちゃったのよ!」
ガバッとレッドの両肩を掴めばびっくりしたピカが下に飛び降りた。たじろぐレッドは私の質問に答えたのだが私の怒りは治まることを知らない。その苛立ちと好奇心をあわせ持った私はレッドの腕を掴んでオーキド博士の研究所から慌て出たのであった。
「いや、オレがマサキの言う通りに」
「もうっレッドのばかばかばか!図鑑に入れ損ねたじゃない!」
こうなりゃもう一度!
(マサキさんには悪いけどコラッタに戻ってもらう!レッド、家まで案内して!)(ええー…絶対にやってくれないと思うんだけど)(そしたらレッド、君がコラッタになってよ)(ええー…どうしようピカ)(ピーカ?)
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