notシンデレラ




「ええっ、シェリデレラ!?」

「ああ。前の【シェリ雪姫】が好評だったからねぇ。今回もあんたたちに頼もうかと思って依頼したんだ」

そう、私達はこの前、とある依頼を達成した後【シェリ雪姫】を無理矢理やらされた(シェリアはいつになくノリノリだったけれど)

そして今回、前回の評判がよかったせいか、私達はおじさんに呼ばれてベラニックまでやって来たのだ。

「わ、私……、今回は姫役を辞退させていただきます!」
顔を真っ赤にして否定しているシェリアを不思議に思って『シェリア、大丈夫?』って聞くけど「た、大丈夫よ」と返ってきた。ぜんぜん大丈夫じゃなさそう。

「じゃあ、他の人がシェリデレラをやってくれないか?」
と言ってる、おじさんをずっと睨んでいたヒューバートが心底嫌そうな顔をした。


「僕はもう、でたくはありませんね。ナナシ、貴女がやったらどうなんですか?」

『えー……。私なんかじゃ勿体無いよ。ねぇ、ヒューバート。やろ?』

「なんで僕が!」
嫌です、やりません!という彼に、私は指を一本たてて幾つかの理由をいう。


『ヒューバートが適任。その一、【シェリ雪姫】でシェリアを抜いた女役はヒューバートだけだから』

「うっ……、嫌なところをついてきますね。貴女は」
『その二、ヒューバートはツンデレだから』


そう言い終わると、空気が変わった。

アスベルは成る程、と。ソフィは……ツンデレ?と。シェリアは顔を真っ赤にしたままだから話は聞いていないのかも。パスカルはノリノリでいいんじゃな〜い?と笑い、教官は声に出さず笑っていた。

そして言われた当本人は、怒りに震えていた。

『シェリデレラならずにヒューデレラ!これでいこうよ!!』

そう言い放った瞬間、拍手が舞い起こったのだった。


ん、何?ヒューバートが何か反論している?拍手の音がうるさくて何も聞こえないよ。

そうして、ヒューバートの反論をひとつも聞かないまま、シェリデレラ……いや、ヒューデレラの開演の幕が開かれた。




- 48 -

[*前] | [次#]

- back -
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -