いざ、最終回!

円堂がテレビに出ると秋からメールがあった。取材見学がOKだったらしく秋に言われた日時、我が母校雷門中へ向かうと現サッカー部員がちらほらと見守る中心に円堂と秋が居た。あれ、角馬くんのような人もいるような。

「名無しじゃないか!どうしたんだ?」

「円堂ってこういうの向いてないからどうヘマするのか見にきたの」

名無しちゃん!と秋の小さなお咎めを受け、すんませーんと苦笑を漏らすがまだカメラは回っていなかったよう。こんな下らん話が入っちゃってはテレビを見てくれるだろう私たちの仲間に見せられないって話よね。秋が私を呼んでくれた理由を簡潔に済ませ、私はカメラの邪魔にならないように端へと移動した。

「もしかしなくても円堂監督やイナズマイレブンの皆さんと共に練習に参加したと言われている名無しのさんですか!?」

端に避けた瞬間小さいながらも興奮した様子を見せつける少年の名前は確か松風天馬。今回、優勝した際の臨時キャプテンとして仲間に胴上げされていたのをテレビで見た記憶がある。私はうなずきながら肯定の言葉を返すと色紙とペンを持っていた少年からその二点セットを奪い私に突き出した。サインというサインは高々個人ラーメン屋の一店員として働いている私にはないものであるのだが、これは書いていいのだろうか?後ろで何かを嘆いている男の子に真っ白い色紙を返してあげることもできたのだが、なにぶん天馬くんのキラッキラと輝いたその顔が目の前にあって。私は心の中で何度も謝りつつ、ペンのキャップを右手の親指で格好よくあけた。

「いって!」

その言葉の次に秋の円堂くん!の声。何があったなんて説明もいらないだろうけど私の飛ばしたキャップが見事円堂の鼻にあたったって訳。うわーやっちゃったー…なんてベタな展開も持ち込むのがイナズマイレブンもといイナズマジャパンの練習に付き合っていた私の欠点なわけで。完全カメラの回っているその状況をどうすればいいんですか的な青筋を浮かべている角馬くんであろうその人が恐い笑みを浮かべていたのでサインそっちのけでしっぷうダッシュをして帰ったのが先週の話。


今日オンエアを観てみたけれど円堂にキャップをぶつけたシーンも痛がる声も全てカットされてあったのでホッとしたというオチでした。





その代わりにしばらく円堂に会えそうにないです
(緊張を和らげてあげようって魂胆だったのにこんな風にやらかしちゃうなんて。秋、わたしどうすればいい!?)(うーん…円堂くんは気にしてないと思うんだけど。キャップがあたった後辺りからいつもの円堂くんに戻ってたし)(でも円堂の奴、夏美さんに言ったりしてないかな!?はっきり言って円堂より夏美さんが恐い!)(うーん…それは…、)(それは、何!?不安をあおらないでえええっ!)

2012.4/11


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