お茶に致しましょう

女の子の声が響き渡る教室。そんなこと言ってる私の声も響き渡っている。そう、だってこうでもしなきゃ沈丁花さんがうるさいんですもの。

「きゃあああ、アラタ様ああああ!」

変な口癖を多用する長身リーゼント眼鏡。その人の名前は嶺アラタという。普段はやっくんこと多智花くんとチョリソースだかケチャップだかとやっている。最初なぜマヨネーズがないのだとか真剣に考えたこともありました。結果論、人数が足りないわけですね。A4の中からもうひとり出してあげればいいのに。成宮くんとか。

新任の担任さんは相変わらずのてんてこ舞いで私たちが騒ぎ立てているこの惨状を必死に止めようとしている。そんな口の注意だけでは無理に決まっているだろう。

こういうとき、真壁先生なら永田さんを呼んで何がなんでも黙らせるだろう。草薙先生なら得意のアニマル話が延々と始まるし、七瀬先生は主婦(夫)の家計簿術を伝授させようとする。仙道先生はどこからか水鉄砲をとりだして水浸しに。風門寺先生は女の子必見のお洒落な講座を開き、斑目先生はなぜか白い動物を召喚したりする。一番の恐怖は斑目先生であることを忘れてはいけない。

女子がきゃあきゃあと嶺くんに騒ぎ立てているティータイムという名の六時限目に私はスケジュール帳を開いて放課後の動きを確認した。今日は嶺くんがテニス部にかり出されるらしいから四時までにテニスコートに集合…。小さくため息がもれた。

名無しちゃん。と嶺くんの呼ぶ声が聞こえ慌てて手帳をしまい何ですかアラタ様と精一杯可愛らしい自分を演じてみせた。

「萎れた花のような顔は君には似合わないと思うよ。君が笑えばマジマジドマジにHMAS!向日葵に負けないほど明るく咲き誇れると思うんだけどな」

でた。意味の分からないマジマジドマジ説。クスリと笑い、ありがとうございますアラタ様と返せば皆が皆私も誉めて誉めてと嶺くんに迫っていった。


「放課後はどういたしましょう…、」

はっきり言うと嶺くんのことなんてどうでもいいのだ。好きでも嫌いでもなくてクラスの印象を引き下げないように沈丁花さんの下について一緒に騒いでいるだけなんだから。

萎れた花が元気になるには何らかの栄養が必要じゃないですか。なんて返答を心中に騒がしいティータイムの時間が終わった。

担任は本日も敗北したのである。





ティータイム(六時限目)
(さて、どうやってサボろうか)(放課後をサボるなんて、響きが変だけど)

2012.3/19


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