クマに再会する約束をしてジュネスへと無事帰還することができた。クマの出したテレビが異様に小さかった気がするんだけどあれって体重制限とかあるのかな。なんて余計なことはおいといて。
『えっと、今日は有難う。それと物凄く迷惑かけたようで』
「確かになー」
「名無しのシャドウはとても強敵だった」
『?』
「物理弱点かと思えばカウンタ持ちだし」
「魔術は一切効かないし」
私のシャドウというのは十中八九“あの子”のことだろう。
難しい用語を並べられてもまだまだ初心者の私には理解できないが別に私に対して怒っているとかはないらしい。よかった。
『よく分からないけど、ごめん?』
でもやっぱり謝りました。迷惑かけた発端は私なわけだし。私がテレビの中に行かなきゃ皆が危険にさらされることもなかったわけで。
そんな私を笑って迎え入れてくれる皆に感謝。勿論今居ないクマにもね。
「あ、俺こいつ送ってくわ。家知ってるし」
任せたと頷く鳴上に続いて里中はなんで名無しん家知ってんのよと腰に手を当てて訊いた。
「なんでって言われても…なんでだっけ?」
『こないだ格ゲー借りに来たじゃない』
「ああそうだった」
「花村くん、千枝のときみたいにディスク割ったりしてないよね?」
「「『!』」」
思い出すのは四月のあの日。
珍しく花村が里中の事を「里中サン」と呼んだあの日の事を思い出した。
成龍伝説。里中が思い出した例のタイトルを呟いて、花村は冷や汗にみまれていて。相棒さんは静かにそっとしておこうと視線を外したのであった。
>体調よりゲーム優先。
(割ってないよね!?)(た、多分)(つか花村、あたしのは!?)(来月の給料日まで待って!)(私の心配だ…花村っちに返してもらってから帰ろ。そうしよ)
2012.6/17
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