行動



『はぁ…ぅ…』

顔を火照らせるその容姿は年齢に似合わず、妖艶だ。いつもはお転婆っぷりを見せつけてくれるのだが、今はそんな姿を一切見せてはくれない。

幾度も幾度も考え直すが、俺は水面下でこの、勝ち気で一番楽しく振る舞いながらも独りに……孤独になると顔に表すことはないだろうが泣いているようにも見える彼女の……ナナシのことを好いているのだろう。

「全く……、何でも溜め込もうとするから悪化するんだ」
前にも言ってやっただろう。そう呟くが聞いてはいないだろうな。

あの時、いきなり倒れたときには皆が皆、焦ったものだ。近くにいたアスベルが支えていたから地面にぶつかることはなかったのだが……あの時は誰一人と冷静に対処しようとする奴はいなかったな。………俺も。ヒューバートでさえも。


「やはり、皆に愛されているのだな」

頭を撫でる。髪の毛が絡むことなく通った。


『私、教官に撫でてもらうの大好きなんですよね』
前に剣術の腕が上がったことを素直に誉めていたら言われた言葉。思えば、あのときから彼女に惹かれていたのだろう。



いつまでも、いつまでも
(お前が違う人を好きになったとしても【教官】としてお前の髪を撫でてやろう)



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