関係を縛る理由はない

「さて帰るぞ相棒。ほら背中」

相棒の名を呼んだ花村が私の目の前でしゃがむ。ああ。と鳴上の声が私の後ろから返事をする。なんだこの体制。これじゃまるで私は花村の背中に被さるようにして乗らなきゃいけないみたいじゃないか。

『え、ちょ、歩ける…』

「曖昧な発言は否定。だろ?ったく、疲れてんなら言えっての」

「ほらほら名無し。さっさと乗る!」

どうやら私の反論は聞き入れてくれないらしい。鳴上と里中の二人係りでいやいや言ってる私を花村の背中に押しつけた。花村はそのまま私の膝裏に手をかけて持ち上げた。

「おっも…」

『そう思うならおろせバカ村!』

言いながら彼の首を腕で軽く絞めるとギブギブ!と苦しそうな声を出していた。花村の肩に顎を当てて体重をかける。花村はもう何も言わなかった。

「いつかはクマもナナシチャンおんぶできるように鍛えるクマー」

「クマに体重かけると頭とれるだろうが!」

ちゃんとチャックで止めてるクマよー?クマは短い手を器用に扱って取れないことをアピールしている。そういえば確かにクマの頭と体の繋ぎ目はチャックで賄っているようだ。

「じゃあクマの中に入れればいいんじゃないか?」

鳴上の案に私を運ぶ彼は空だしなーと悪のりする。花村は完全からかっているんでしょうが、…問題は鳴上。貴方の目。ものすっごい本気な目になってますよ。
私の両目が鳴上を捉えているとき、私の両耳は喉の奥から笑いを堪えているような声が聞こえた。

「頭の中が空っぽ…ぶぶっ」

「雪子…あんたどこでツボに入ったの?」

どうやら犯人は意外中の意外。天城が笑っていて…って笑うことに関しては何も言うことはないんだけども、笑い方がそれまた意外だなぁ…とか。





>楽しいと感じる帰り道。
(天城ちゃんのキャラ…実はそういうのだったのね)(やっぱ最初は驚くよな)(さて、帰るか)(うう…センセイ、また来てクマー)

2012.6/12



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