「大丈夫か名無しの!」
『……、』
うっすら目を開けた先にボロボロ姿な皆が居た。私は咄嗟に口を開こうとしたが鳴上が静かに私の口に人差し指を当てる。喋らなくても分かっているということだろうか。
「誰だって嘘つくときはある。自分に対して嫌な感情はもってほしくないだろ?」
「それに素直じゃない奴なんて世の中いっぱい居るぜ?」
確かに嫌な感情は持たれたくない。からって見つかったら嫌な感情が渦巻いてしまうだろう。
確かに人間全員が素直だとは限らないけど私みたいにはっきりしない奴なんていらなくない?
「素直になりたいと思うなら死ぬことを考える前に正直に伝えてみりゃいいじゃん!」
「うん。本当の友達なら絶対伝わる」
『……そう、だね』
死ぬ前に伝える。確かにそれには従える。私はよろりと立ち上がり、哀しい目で訴える“私”の前まで歩み寄った。何も言い出さない“私”に私は静かに思っていることを吐き出した。
『………』
『私、やっぱり友達って恐い。形だけなのかもしれない。けど、今はこの人達を信用してみる。何の取り柄もない私に熱く語りかけてくれるなんて始めてだよ。だから、死なない』
というか死ねない。私をちゃんと見てくれる人が死んだ先に現れるなんて限ったことじゃないもん。
『貴女は私。だったら私が次に死にたいと思ったときは貴女がもう一度私を殺しに来て。ま、多分ないと思うけどね!』
『………』
物騒な事を言ってるような気もしたが私の心はすごく穏やかだった。私は自分を抱き締める。こくりと、頭が下がるのが分かった。これは私を信じてくれたと言うことだろうか。
自分は淡い光に包まれて消え、そして目の前に蒼白いオーラに包まれたカードが現れた。
>私はもう一度頑張ります。
(これは…皆の持っていたカード)(私もペルソナ、出せるってこと?)
2012.6/10
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