気づいたらそこは真っ暗だった。その中で色が違うもの。目の前にひとつだけあった。目の前には可愛らしいキャラクターのノート。見かけたことがある。あの子が誰かとやっていた交換日記だ。
“あいつ、ベタベタ近寄りすぎ。私しか一緒にいる人いねーのかよ”
そう。見たくて見た訳じゃないのに、見かけるときっていつも悪いことばっかり。その時からほんの少しだけ距離を開けるように気をつけるようになった。
交換日記が消え小学校の卒業アルバムが現れる。そういえばあの子にコメントしてもらったとき、楽しそうに書いていた。あれも嘘なのかもしれない。
“私と名無しは一生友達!中学入ってもよろしく!”
『嘘つき…、』
“あの子”の声が聞こえた。
だけど私も嘘つきそのものなんだ。唇を噛んで目を閉じた。そこもやっぱり真っ暗だった。
「ねーねー名無し。私の話、訊いてた?」
『ん、どうだと思う?』
友達という関係が偏り始めた頃。私と似ている執着する女の子と親友になった。彼女なら私の事を理解してくれるかもしれない。なんて甘い理想から完全に脱出しきれてなかったのだ。
「あー…訊くだけ野暮だったかな。それでね、」
『私、返答できる返答はちゃんと正しい答えを返すのに!私の答えが曖昧なときはいつも否定なのに!』
“彼女”は苦しんでいた。そう、私はいつも分かる話題なら積極的に会話に入る子だった。友達だ、と親友だ、と仲を深めても裏切られるのは自分。そして裏切っているのも自分。
『素直になれない私なんていらない』
これが私の結論。そう、いつもそう。神社で私はいつもそう泣いていた。私を理解してくれる人なんて誰も存在してくれないから一人のほうが楽だから。形だけの友情を作ったのだ。
「そんなことない!」
『!』
暗闇から光が射し込んだ。
>そういう言葉が欲しかった。
(普段の私は明るい?)(本当の私はネガティブですよ)
2012.6/7
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