『おおー…これがテレビの中か』
テレビの中の感想。尻が痛い。試しに片手を入れてみればテレビの中から強く引っ張られる感覚があった。スゴい、こんなの普通じゃ体験できない話。案外人助けだか人捜しだかってのも嘘じゃないのかもしれない。
未だ痛むお尻を押さえながら辺り一面を見回す。霧かかっていてよく見えないが此処がテレビ売り場では無いことは分かる。
「センセイ、この子はだれクマー?」
と謎の物体Xは鳴上に向けて話しかけた。私が猿…と小さく呟くとアレはクマだとと花村が訂正。クマ…言われてみればクマに見えなくもない。
“センセイ”が私の説明する。
「じゃあ今度来るときまでにナナシチャンの眼鏡を作るクマ」
『眼鏡?……ああ、そういやミンナ眼鏡かけてるね。伊達?』
里中は待ってましたと言わんばかりに視界がクリアになる話をしてくれた。ほうほう…この場所は特殊なレンズでないと霧が晴れることはないらしい。
「で、今日はなにするクマ。遊ぶ、遊ぶ?最近クマすごい暇よー?」
「どうする相棒、今日はレベル上げする予定だったけど」
アイツ居るし。と後ろ指指すのは私。キミね、そういうのはとっても失礼な行為だと私は思いますよと思いながら目の前のクマの着ぐるみ…ロボット?のような自称クマと名乗る物体を上から下へと眺めた。これも失礼な行為なのかも知れない。
ナナシチャンクマ見るの、やめれーと照れ隠しらしき行為をクマが行ったとき悩んだ表情の鳴上は私を一度横目で見てから何かを決めたようだ。
「今日はとりあえず案内を兼ねて雪子の城に行こう」
『城って…天城ちゃんってば金持ちね!』
「私は行きたくないな…。色んな意味で」
>霧が濃くて判断できない。
(うわ、でか!)(ねぇ鳴上くん…本当に此処に行くの?)(…というか此処しか行く場所がないからな)(逆ナンの場所クマ!)(ぎゃ、逆ナン?)
2012.5/22
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