噂好き少女

帰りのSHR待ち。つまり担任待ちをしているこの二年二組の教室の中はいつもの休み時間と同じくらいざわついていた。何ら変わらないこの教室の中で、私はこないだ友達から訊いたあの話題を隣の席の彼に持ち出した。

『ねーねー花村っち。あんた転校生とつるんでジュネスに集まってるんだって?』

何してんのさ。と言うと花村は眉を潜めた。私が気になったのは転校生というワードと頻繁にジュネスへ向かっている点。いや、そりゃあ…こんな田舎町。行く場所なんて限りあるわけだし、花村はジュネスの店長の息子。いわば花村ジュネスくんって奴だし。変ではないが電化製品コーナーで消息が途絶えるって噂も訊いたわけで簡潔に質問したのだ。

「あー…人捜し?つか人助け、か?」

『ナニそれ』

電化製品コーナーで人捜しだなんてそんなに賑わっていただろうか。どちらかというとゲームコーナーとかのほうが迷い人が多いんじゃないの?私は花村の言葉を待った。未だ生徒に嫌われてる担任は来ない。

「ナニそれって言われても。なんつーの、あれだ。誰にもできない事をやってるって訳」

「ちょ、花村。余計なこと…、」

私たちの会話を聞いていたのだろう、私の前の席の里中はバッと振り返って輪に入った。形振り構わず私ははしゃぎながら仲間に入れてほしい有無を伝えると里中が投げやりに知らないからと息を吐いた。その姿はまるで捨てられた子犬を拾ってきたけれど返してきなさいと叱る母親の姿のよう。

『里中ちゃんも花村っちの仲間?人助けってナニ、どんなことしてるわけ?』

「どんなことって言っても…、」




>頭を抱えるクラスメート。
(どうすんのよ花村!)(知るかよ!)(流石に教えるわけにいかねーだろ!)(…そっとしておこう)

2012.5/18



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