古くからの慣習。

「そういえば【いただきます】って挨拶はどこから生まれたんだろう?」

ロイドの何気ない疑問は時に難しいものだと思う。ロイドと年が変わらない私には勿論、コレットにも頭の良いジーニアスにだってその難問に対する答えを持っていなかった。

パーティー内で頼りになるのはリフィル先生。あとはリーガルとクラトス辺りだとふんだ私たち四人はとりあえずシルヴァラント一の先生に聞いてみることにした。

「いただきます…?」

「ああ!俺たちは小さい頃から親父たちにいただきますっていう挨拶が叩き込まれていただろ?」

「姉さんなら分かるかなって思ったんだけど…、」

「…そうね。それは興味深い質問だわ。何気ない挨拶の起源は一体どこか…。それにしてもロイドはよく面白い疑問を投げ掛けてくれるわね」

疑問を持つことはとても誉められたことよ。と微笑み、クラトスなら分かるんじゃないかしらと一言続けた。

クラトスか。確かに英雄としても称えられている彼なら分かるかもしれない。リフィル先生にお礼を言って二手に別れた。



ロイドと私はとりあえずノイシュのもとへと行ったがどうやらそこには居なかった。どうしようかと飽き始めたロイドが漏らした。

『…ね、ロイド。大きな声で父さん!って言ったら案外来るんじゃない?』

「んなわけ…、ありそうで恐いっつの」

一回やってみてよ。嫌だよ、親父なら言ってもいいけど。そしたらダイクのおじさん来ちゃうじゃない、一度でいいからさ。と口々と続け、結局は言い出したのはロイドだよね?と止めをさせば渋々と了承の言葉を呟いた。


「ふぅ…、」

『はやくはやく』

「わかってるよ!……はぁ…父さん、近くにいるなら出てきてくれ!話があr」

「どうした?」

『「はやっ!?」』

絶対待ち構えていただろうと私とロイドは目を合わせ会話する。流石はロイドの父さん、侮れない。早く話をしてくれないか、と見た目裏腹ウズウズしている様子が伺える。

とりあえずロイドは自分の質問をクラトスにぶつけた。案の定クラトスはロイドの質問内容の答えを知らなかったようで。焦ったように黙るクラトスの姿があまりに惨めに思い始めたのでこの話は忘れようと静まり返った空気に私は割り込んだ。


「クラトスなら分かると思ったのになあ」

「すまないがこちらが覚えている限りでは生まれる前から【いただきます】は存在していたのでな…、」





結局発端はいつ頃なんだろう
(気になるけど答えを知るものは誰一人としていなかった)

2011.12/26


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