さて、どういう状況なのか分からない。というのは隣に座っていなきゃいけないはずのサラサラロン毛宍戸くんの席に、いかにも青春してますとでも言いたげのスポーツマンな男の子が座っているからなのである。いや、十中八九、彼は宍戸くんなんだろう。ほら顔の傷に見覚えがあるし。
「……なんだよ」
『あ、ごめんなさい』
声も相変わらず。もう完全宍戸くんだよこの人。やばいやばい、じろじろ見ちゃいけなかったよね。ああ…これは嫌われフラグに一歩近づいちゃったか。
「悪かったな」
突然の謝罪。謝られる意味がないわけではないような気もするけど、あれは私も悪かったよね。だから私も謝罪の言葉を述べる。それからは謝罪の言葉ばかりの繰り返し。私が謝れば、彼も謝る。そして私たちは笑いあった。
「はっ、激ダサだな」
『激ダサだねー』
髪の毛を切ったことにはなんらかの理由があったんだろうけど。そんなの気にしない。今が楽しく話せりゃそれでいいでしょ。よし、今日からはまた寝ないで授業を受けることができるね。どうせ、くっちゃべってばっかなんだろうけど。
激ダサな私たち
(やっぱり宍戸くんと話せるのは良いよね)(一緒にいて楽しいな)
2011.11/1
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