またお弁当を忘れた。けど今回は抜かりない、だってコンビニの手前で母さんから連絡があったから。へへ、私ってば学ぶ女の子ね。コンビニの中で適当にサンドイッチを選ぶ。そういえば宍戸くんファンのあの子、宍戸くんがチーズサンドを好きだって言っていたような。台の上にあがっていた最後のチーズサンド。隣のたまごサンドと一緒に会計へと持っていった。
『宍戸くん、おはよう』
「……よう」
あれ、元気なさげ。いつもの女の子を寄せ付けない雰囲気は一切無い。けど、これを食べれば元気になるよ。この前のお礼をかねて、いつもの宍戸くんに戻してあげなきゃね。
『宍戸くん、あのね』
「…んだよ、話しかけんな」
睨みかけてくる宍戸くんはいつも以上に気が立っていた。席替えをした頃以上に恐い。どうしたんだろう。聞いてみたいけど聞いちゃいけないような。
「じろじろみてんじゃねえ。イラついてんだよ、今」
彼はそう言って教室を出た。胸が痛むのを感じながら手渡しであげるはずのチーズサンドを彼の机の上に置いた。宍戸くん、元気がでますように。
痛い、なぜ、なぜ?
(はぁ…嫌われちゃったかな)(多少話せるようになったと思ったんだけど)
2010.10/26
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