今日に限って弁当忘れた。弁当忘れたのに箸は持ってきている、これって名無しクオリティ?きっとカフェテリアという名の食堂に行けば沢山の人で賑わっていることだろう、よし、今日は昼飯抜きでいこう。ダイエットよダイエット。
「なんか名無しの死んだ顔してねぇ?」
『しーしーどーくーん……』
彼は最近話をかけてきてくれます。まあ、席替えをして一ヶ月。そんなもんなのかもしれない。とりあえず弁当を忘れたことを言うと「激ダサだな」と返された。何も言う言葉がない。そんな宍戸くんはポケットからなにかを取り出した。あ、ミントガム。
『嫌がらせ?』
「ん、いらないのか?」
もしかしての私にミントガムをくださるようで。なんだろう、宍戸くんが天使に見えた。あ、いや、天使はどちらかっていうと芥川くんの頭のほうが典型的な天使っぽいけど。いります!と大きな声で言えば笑われた。そして渡される一枚のガム。
『んぅ…幸せー』
只今、宍戸くんへの好感度が急上昇しました。何この人、優しすぎて嬉しいんだけど。テニス部って顔だけじゃないんだね。うん、食べるの初めてだけどミントガム美味しいや。
幸福を感じる一枚
(もぐもぐもぐ)(五時間目の授業が始まってもこの味を噛み締めます)
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