『なでしこジャパン勝ったね』
朝のニュースで何回も何回もおんなじようなニュースがかかっていたから嫌でも耳に入ったこの情報。多分サッカー好きの彼ならこの話題にのってくれるだろうと振ってみたらやっぱり反応を見せてくれた。
「ああ名無しも見てたのか?」
『んにゃ、私はニュースだけ。でもアメリカと戦ったんでしょ?すごいよねー』
身長差とか半端なさそう。そう言えば私の話を聞いた円堂くんは左右に首を振って「俺達だって一之瀬たちに勝ったんだぞ!」とぷんすか拗ねた。確かにイナズマジャパンはアメリカに勝った。っていうかなでしこジャパンとおんなじ世界一になっていた。あんな弱小サッカー部時代から頑張っていたのが嘘のよう。
「それにさ名無しがいつも応援に来てくれてただろ?……って名無し?」
そんでもって、そんなキャプテンと知り合いだなんて私も少しだけ鼻が高い。いつか告白しよう、一応卒業までには告白しよう。
「おーい」
あ、告白と言えば木野さん達はどうするんだろう。というか円堂くんって既に付き合っている人がいるのかな。木野さん?雷門さん?大穴で音無さんとか!?………それはないか。鬼道くん守備範囲広そうだもん。
「名無し!」
『はいっ!』
へ、なんだろう。何が起きたのか理解に苦しいマジで。気がつけば彼は私の両肩をつかんで名前を呼んでいて。そんな目で見られたら誰だって惚れちゃうじゃないか。男の子に免疫のない私なんて尚更。
「どうしたんだよ。いきなり黙りだすし。って顔真っ赤だぞ、保健室行くか?」
『だ、大丈夫。これは風邪じゃなくて精神からくるようなもんだから!』
「ああ。俺に見惚れたんだな!」
『な、なな…っ…!』
笑顔でとんでもないこと言い出さないでよ円堂くん!っていうか円堂くんから見惚れるだなんてワードが聞こえるなんて一ミリも思わなかったよ。そういう人だなんて思ってなかったもん!
「違うのか?精神からきているんだったら十中八九好きなんだって一之瀬が言ってたぞ?」
犯人は一之瀬くんか。あのアメリカンボーイめ、純粋な円堂くんにいったい何を告げ口しているんだ。勝手に変態ワールドを展開させないでいただきたい、うんホントに。
「ちなみに、」
「俺も名無しを見ていると紅くなるから仲間だな!」
(そ、それって告、は…)(うん?)((まて、自分。円堂くんって国語の成績やばくなかったっけ?理解できてないかもしれない。え、でも、ちょ…!これってばチャンス到来!?))
2011. 7/27
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