「しっかりつかまっとけよな!」
さわる程度に手をおいていたら、あり得ないスピードでこぎだした。心臓に悪い。これ以上寿命が縮んだらどうするんだ。まぁ、それはそれでいいけどさ。
有りがちな展開の対処法
下駄箱の中に手紙が入っていた。破り捨てようかと考えたけど、まあ…暇だし乗ってやろう。いつものように授業そっちのけで屋上にやって来た自分。適当にすわり、手紙をあければ「昼休み校舎裏にこい」だとか。わざわざ新聞の切れ端を使う辺りミステリー小説とかの読みすぎなんじゃないかと疑いたい。
『校舎裏かー…』
屋上に来てほしい。面倒だし。でも相手の名前知らないし。どうしよう。うーん…とかんがえる像のように考えること云十秒。珍しく頭の冴えた自分はバッグから紙とシャーペンを取り出してなにかを書き込んだ。
昼。自分は屋上にいた。曇天模様の空を見つめながら寝転んでいた。いじめっこさんたちは来てくれるだろうか。
自由行動が可能な授業中にわざわざ校舎裏にまで赴いた。相手が下駄箱に置いたのなら私だって置き手紙をしたって構わないじゃない?
『あー………』
腹減った。ちょっと、誰も来ないんだけどなんで?置き手紙を石で挟んでおいておいたのがダメだったのかな。でも屋上から校舎裏を覗いてみても誰も来る様子は見せてなかった。
うーん…騙されていたのかな。
『っ!ごほっ…ごほっ!』
いきなりの嘔吐感。
気持ち悪いきもちわるいキモチワルイ。
手で口元を押さえた。押さえた手からなにかが溢れてきた。汚いアレかと思ったけど手は真っ赤に染まっていて。
ああ、死期が近いんだな…なんて他人事のように思ったり。
「名無しのっ!?」
あの人の声が聞こえたような聞こえなかったような…あー…どうでもいいや。
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