『……うっ!』
腹部に激痛が走る。目の前がチカチカする。女どもの高笑いが聞こえる。壁に頬を押し付けられる。
私は、そう───いじめられている。
こんな朝でも構わない
今日はいつもと違う。そして、最初で最後の月曜日を味わうのだと自分は意気込んでいた。死語やいじめ。そんなものでも自分にいつもと違うものを見せてくれる彼らに少なからず感謝の意を込めた。
「いいこぶってんじゃねぇよ!」
『ぐっ……!』
いいこぶるってなんですか。媚を売るという意味ですか。人のことを言えたものじゃないですがいけないですよ。【トモダチ】というものを信用しているんならば本当の【ジブン】をみせつけてやりましょうよ。
「あんた…、友達を裏切ったらしいじゃないのさ。×××のことがとても大事な友達だったんじゃねーのかよ!」
『がっ!!』
なにも自分のことを知らないくせに。別に友達付き合いが嫌になったからなんかじゃない。本当は……、
そこで自分の思考回路はストップしてしまった。
言うまでもない。自分の立っている真上からバケツに入っていたらしい水をぶっかけられたのだ。滝のような勢いでかかるそれが終わったあと、バケツまでもが落とされた。
再度女たちの笑い声が響く。耳に響く。反響する。自分はただ呆然と今の立場を受け入れる。何はともあれ。こんな風に仕立てた根元は自分にある。
丁度いいことに、チャイムが鳴り響き、女たちはそそくさと教室へと帰っていた。その顔はストレスを解消したような、なんかモヤモヤが薄れたような、とにかくスッキリしていた。
『私はストレス解消対象物』
それもいいかも知れない。この一週間、ストレス解消対象物として過ごしてやろう。どうせ自分のこの痛みはあと一週間もなく終わってしまうのだから。もう自分には自嘲めいた笑みしか浮かばない。涙は昨日、散々流してやったんだからもう出ない。もう出さない。
『さて、保健室へいこう』
その言葉と共に私は痛む体に鞭打って動き始めた。
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