真っ赤な私




『豪炎寺』

「どうした?」


『……いや、別に』

そう言ってそっぽ向く名無し。その耳は真っ赤で、やっぱり可愛いとか思ってしまう俺はきっと健全で。数分前から握りあっている手の体温が心地よい。ぎゅうっと強く握ると名無しも握り返してくれる。勿論顔はこっちを向いてくれないのだが。

「名無し」

『何、豪炎寺』

「こっちを振り向いてくれないか」

『いや』

「なんで?」

『なんでって……』

モゴモゴと続きを呟くが俺には聞こえない。いや、俺は聞かない。もっと大きな声で言ってほしいだなんて、俺もとうとうシスコンを卒業できるのかもしれないな。

「聞こえないな。もう一度」


『なぁっ……!だからっ…その、か…顔が真っ赤だから見せらんないしって言ったの!!』

「俺は見たいけどな」

声だけでなく、今の名無しの顔が見たい。それは彼氏として当たり前だと俺は思う。豪炎寺が見たくても私は見せたくないもん。だからダメ。と言い張り、未だにそっぽを向く彼女の頬に一つキスをしてやった。




コレは君を振り向かせる魔法
(なっ、……ななな!豪炎寺!!)(お前、もしかしてキスされるのが好きなのか?)(そんなわけないじゃん!)(だが、いつもコレをしてやると振り向くだろう。な、名無し?)(もう、知らない!)



- 21 -

[*前] | [次#]

- back -
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -