帰宅して、ご飯とかお風呂とか全部済ませてからベットに寝転がる私。
今日楽しかったな、なんて善逸が買ってくれたおそろいのストラップのぶら下がったスマホケースを見ながら少しだけ笑う。
一つ一つ今日あったことを思い出しながらストラップをいじる私。
ふと、窓にコツコツと何か当たる音がしてなんだろうと私はカーテンを開ける。
見れば善逸が棒で私の部屋の窓を突いていて、思わず呆れた顔をすれば開けてと口パクする善逸。
息を吐きながらゆっくりと窓を開ければ善逸は少しだけ笑う。
「ねぇ、今日楽しかった?」
「うん、楽しかったよ」
「そっか」
それ、帰るときに言わなかっただろうか。
あんなに嬉しそうに笑っていたのに、と思ったけど善逸がまた嬉しそうに笑っているのを見てまぁいっか、と私は息を吐く。
「…それだけならラインでよくない?」
私がそう言うと善逸は少しだけムッとする。
「明日も遊びたくて誘おうと思ったの!」
「それもラインでよくない?」
わざわざ棒で私の家の窓を突くことはなかったんじゃないか、なんて思っていたけど、善逸が少しだけ顔を赤くして言う。
「あー!もう!好きな子の顔見たいって思ったらだめなの!?」
「ふふ、ごめん。なんか面白くて」
私がそう言って笑えば善逸は少しだけ頬を膨らませる。
「で、どこ行くの?」
「え?」
「着いていくよ」
私の言葉にぱあっと顔を輝かせて嬉しそうにする善逸に、単純だなぁと笑ってしまう。
「美味しいもの!食べに行こう!」
「うん」
どうしようかなぁ、とにやにやしている善逸。
何か提案した方がいいかな。
私が少し考えていると善逸があっ、と声を上げる。
「名前甘いもの好きだし、ケーキバイキングとかどう?」
「え、いいの?」
確かに最近ケーキは食べてないしいいかもしれない。
善逸は嬉しそうに話す。
「俺も甘いもの好きだし!」
何故か自信満々に言う善逸にくすくす笑う私。
「そうだったね」
「じゃあ、明日ね!」
「うん、おやすみ」
そう言って窓を閉めようとすると、善逸があの…なんて控えめに声をかけてくる。
「どうかした?」
私が首を傾げれば善逸は1回深呼吸してから少しだけ顔を赤くしながら私を見る。
「好きだよ」
「は…」
「っ、おやすみ!」
そう言って窓を閉めた善逸。
少し固まってから私もゆっくりと窓を閉める。
バクバクと心臓が音を立てて、私は深呼吸をして目を瞑る。
私は、本当に檜岳が好きだったんだろうか。
小さい頃から確かに檜岳の後ろを追いかけていたけど、思い出す光景にはいつも善逸がいた。
「私…善逸が好きなのかな…」
ぼそりと声に出せば熱くなる顔。
自分のことなのに自分が分からなくて。
「…寝よ」
明日もお出かけだからと、私は布団に潜った。