同じクラスのミョウジナマエさん。
ろくに話した事なんてない。
いつも教室で静かに本を読んでいる。
綺麗な顔で、最初の頃は皆が彼女に話しかけていた。
でも、いつも無表情でぼんやりと している彼女はすぐに独りになった。
美人なのが相まって、『人形』なんて呼ぶ奴もいて……。
それでも俺は、無表情でぼんやりしている彼女はまるで、俺の個性≠ノかかった奴みたいで気になっていた。
気になっていたけど、いつも独りの彼女に話しかける勇気はなくて…………。
なにも出来ずに過ごしていたら、あっという間に月日は経ち、完全に話すタイミングを失った。
「ミョウジさん?!」
話すきっかけは突然やってきた。
でも、状況がまずかった。
裸足の彼女、包丁を持った女。
ミョウジさんを守らなければ。
そう思って、個性≠使った。
その後、警察が来たりと大変で、結局彼女とは話せなかった。
マスコミも騒いだりして、あの日以来、ミョウジさんには会ってない。
「ミョウジさんは、お家の都合で転校する事になりました」
しかも、転校だとか……。
もっと、話しておけばよかった。