05
「よぉ、雪比奈」
『おはよう、伊達君』
いつもと変わらない。 良かった…。
「あぁ、そうだ」
『何?』
何かを思い出したみたいで、伊達君はふと呟いた。
「あんた、犬飼ってんのか?」
『え…』
「home centerで見掛けたんだよ。首輪と鎖、買ってただろ?」
……見られてたのか…。
『元は親戚の犬なの。飼えなくなったらしくて…』
「へぇ…」
『暴れん坊で、脱走癖があるらしいから』
「ずっと飼うのか?」
『……いいえ、大変だし……とりあえず、新しい飼い主が見付かるまで…』
「そうか……早く見付かると良いな」
『そう、ね…』
「お、そろそろ先公来るな」
『じゃあ』
そう言って、伊達君は自分の席へ。
「……犬、ねぇ…」
「政宗殿、犬が何か?」
「いや、何でもねぇ…」
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