04
「…………」
『そう……そのまま、ね…』
大人しく座った俺に、名前は満足そうにスタンガンを下ろした。
『はい、これ』
「パン…?」
投げ渡されたのは、パンとペットボトルのお茶。
『とりあえず、それ食べて』
「……おう…」
もしかしたら、このまま餓死……とか考えてた。
『じゃあ、大人しくしててね』
鎖を柱に繋ぎ、頑丈そうな錠をはめる。 どこで買ったんだ……こんなの。
―――ってか、
「どこか行くのか?」
『見てわからない?学校』
「はぁ?!何考えてんだよ、あんた」
『不自然な行動したらバレるわ。行かないと』
雪比奈は部屋を出ようとして、止まる。
『あぁ、鎖……ちゃんと計算してあるの。キッチンや電話には届かないから、無駄に暴れたりしないでね』
「そんなの……」
『ついでに言うけど、防音だから』
「…………」
今さらだけど、コイツんちスゲーな…。
周りに目を向ける余裕なんてなかった。
改めて見回した部屋の豪華さに驚いた。
.
prev ◎ next
|