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『……どう?』
「美味い」
『……良かった…』
「聞かなくても、お前の全部うめぇよ」
『………こんなに、普通に暮らしていいのかしら…』
「どうにもなんねぇんだから、仕方ないだろ」
『そうだけど…』
俯く鶇の腕を取る。
「じゃあ、もう一つ頼み聞いてもらえるか?」
『何?私に出来る事なら』
「お前にしか出来ねぇよ」
そう言って、鶇を抱き締めた。
「俺の、彼女になって下さい」
『……敬語、似合わない』
「うるせぇ!」
『本当、変人……あんな事した相手を好きになるなんて…』
「俺だって、変だと思ってる…」
『浮気したら殺す』
「わかってる」
『……変人…』
「しつこい」
『……元親…』
「―――っ」
『一人に、しないでよ…』
「あぁ」
返事をして、鶇の唇に自分のそれを押し付けた。
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