01
雪比奈鶇について。
成績が良くて、いつも毛利と1位争いをしていること。 長い黒髪、眼鏡、いかにも頭良さそうな見た目。
……くらいか…。
大人しくて、必要以上に話さないアイツ。 一応、同じクラスだけど、俺はアイツと話した事はない。
俺が知ってるのはこれくらいだった。
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その日も、いつものメンバーとつるんで、アイツとは一言も話さなかった。
野郎共と遊び、夜になる。 俺は野郎共と別れて家路を急いでいたら、雨が降ってきた。 近道しようと路地裏へ。
でも、雨は強くなる。 仕方なく、廃ビルに入った。
「………」
雨宿りついでに、ビルを散策。
そして、俺は見ちゃいけねぇモノを見てしまう。
人の気配を感じて、とある一室に入ったら―――
「なっ…」
血塗れの男が倒れていた。
「…………」
男の側に、誰か立っている。
「……雪比奈…?」
立っていたのは、クラスメイトだった。
『こんばんは、長曾我部君』
「なんで…」
雪比奈はいつもと変わらない顔で話しかけてきた。
『あなた目立つから、知ってるわ』
「そうじゃねぇ!!」
『大きな声出さないで』
「救急車を―――?!」
思わず、アイツに背を向けちまった。
俺の意識は途切れた。
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