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「………雪比奈…?」
『……っ…』
雪比奈の腕には切り傷。 俺も伊達も目を見開く。
「鶇…なんで、」
『勝手に、名前呼ばないで…私、貴方のモノじゃないわ』
「なっ…」
先程の話を聞いていたのだろうか。
「雪比奈、」
『行きましょう…』
雪比奈は俺の縄を解き、立ち上がった。
『伊達君、ごめんなさい。貴方の申し出は受けられないわ』
「なんでだ……俺は……」
『監視するような男は嫌いよ。貴方より、彼の方がずっと良い』
「……雪比奈…」
『今まで、ごめんなさい。通報するなり何なりすると良いわ…』
そう言って雪比奈は、泣きそうな顔で笑いながら、俺に携帯を差し出した。
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