16
いつの通りの学校、いつも通りの授業。
長曾我部君もこんな私に何故か優しくて、安心していた。
油断しきってた。
「雪比奈、」
『伊達君…?』
誰もいない屋上で、昼食を食べていたところ、伊達君がやってきた。
「聞きたい事があんだが…」
『聞きたい事…?』
「犬の事なんだがよ…」
犬……。 そういえば、とっさに犬とか言っちゃったのよね…。
『あぁ、何…?』
「良かったら、俺が引き取ろうか?」
『……へ?』
「飼い主探してるって言ってたじゃねぇか」
『……もう、いいの』
「?」
『飼ってたら、可愛くなっちゃって……このまま、飼おうかなって…』
「………そう、か…」
目を細めて返事をする伊達君。
「好きになったか?」
『えぇ……そうね、まぁ……』
あくまで、犬の話。 そう思いながら答えていた。
次の言葉を聞くまでは。
「長曾我部のどこがいい?」
『…………え?』
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