11
『………っは……うっ…』
近付く度に、大きくなる苦し気な声。
『………っ…は…うぇ…』
トイレの前に立つと、はっきり聞こえた。
………吐いてる?
「………雪比奈?」
『―――?!』
声をかければ、驚いて振り向く。
『なっ……何…』
「……吐いてた、のか…?」
『ほっ、とい…て…』
「……でもよ…」
『うるさい!私がどうなろうと関係ないでしょう?!』
確かに、関係ないし、監禁した相手を心配するのはおかしいだろう。
それでも……
「目の前で苦しんでる奴を放っとけるかよ」
.
prev ◎ next
|