6ー1



 


『……馬って、こんなに大きかっただろうか…』

先日約束したとおり、司馬師と遠乗りへ。

まだまだ外への恐怖は消えないが、このままでは駄目だとわかっている。

彩華は司馬師と共に部屋を出た。

「馬に乗った事は?」

『小さい頃に、子桓兄様に乗せてもらった事がある』

「曹丕殿と…?」

『兄様に連れられ、城を抜け出して………元譲叔父様に怒られた』

「あの文帝が…」

『仲達から聞いてない?よく抜け出してた』

「いえ、特には」

『そうか』

「さて、そろそろ参りましょう」

手綱を持ち、馬に乗る司馬師。

『あぁ……うん…』

途端に不安になり、彩華は目を泳がせる。

「………ご心配なく。貴女には、傷一つ付けませんよ」

そう言って腕を掴み、彩華を馬の背へ。

『……しっかり、守ってよ…』

「おまかせを」

司馬師に抱き付く彩華。
彼は微笑し、手綱を握り直すと、馬を走らせた。



自意識過剰。

(どうにもこうにもならなくて)






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