5ー1



 


あれからまた、数日が過ぎ、相変わらず彩華は司馬師の部屋で執務をしていた。

“もう大丈夫”と司馬師が訴えても、彩華は聞かずに筆を取る。

そんな彼女に、司馬師も何も言わなくなった。





『あのさ、』

筆を動かしながら、彩華はぽつりと呟いた。

『この頃、あまり震えなくなったんだ』

嬉しそうに、はにかみながら……。

『初めは、震えっぱなしで鍾会には嫌な思いをさせてしまったかもしれない。でも、だいぶ……落ち着いてきた……と、思う……』

「それは、何より………次は、遠乗りでもしますか?」

『なっ……何を…!!』

「いい加減、私も身体を動かさねば、なまってしまいますよ」

『………』





「何故、あの二人はくっつかないんですかね…?」

「不思議だよなぁ……あんなに一緒にいるのに…」

二人の様子を窺っていた、鍾会と司馬昭。



意味はないのです。

(一緒にいることに意味なんて)






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