4ー1「鍾会です」 「入れ」 返事をし、中に入る鍾会。 しかし、扉を閉めない彼に、司馬師は疑問を浮かべる。 「何かあるのか?」 「………」 軽く礼をし、再び扉まで。 そして――― 『う、わっ』 彩華の腕を掴み、部屋へと押し込んだ。 「彩華殿?!」 「用は済んだので、失礼しますよ」 『えっ?!ちょっと、鍾会?!』 不安そうな顔で振り向くが、すでに鍾会はいなかった。 『………』 辺りを見回し、自分の部屋でないと自覚する。 指先が震え出した。 『………っ…』 「彩華殿」 『子元……あの、えぇと……』 言いたい事はたくさんあるが、恐怖が勝り、頭が働かない。 「大丈夫、ここには私と貴女だけです」 ゆっくりとした動作で抱き締められた。 途端に、震えは収まり……。 どうして……。 わからない……。 言葉を探しています。 (この気持ちにベストな言葉を) → >> |