3ー2



 


『………』

扉の前で、座り込む彩華。

『見舞いにも行けないとは……駄目だな…』

「まったく、そのとおりですね」

返事が返ってくるとは思っていなかったため、驚いて顔を上げた。

『鍾会…?』

「どうしますか?」

『え…?』

「貴女に敵意を向ける者がいれば、斬り伏せますよ」

『………しょう、かい…』

ぽつりと呟き、彩華はゆっくりと立ち上がった。

『ありがと…』

「………で?」

『お供、お願い出来るかな…?』

ゆっくりと開かれた扉から、おずおずと顔を出す彩華。

「“命令”ではなく、“お願い”ですか……」

『え?』

「いえ、行きましょうか」

『………』

差し出した手を、小さな手が握り返す。
その手が震えている事に、あえて何も言わず歩き出した。



―NEXT―




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