3ー1



 


『いつもありがとう、元姫』

「気にしないで、私がそうしたいの。彩華殿と話すの楽しいわ」

『私も、楽しいよ』

「また来るわ」

彩華とのお茶を終え、元姫は部屋を出た。

『……悪いね、私が臆病なばかりに……』

一人になった部屋で、彩華は小さく呟いた。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



数日後、彩華の元にとある情報が飛び込んできた。

『子元が、怪我…?!』

刺客に襲われたらしい。

『………』

彼が心配で、扉の前まで走る。
しかし――

『………っ…』

あと一歩が踏み出せず、伸ばした手が下ろされた。

『……ごめん、なさい…』

子元が怪我をしたと聞き、心配で仕方なく、慌てて扉まで走った。

しかし、外には出られない。


父や兄が亡くなった時も、当然悲しかった。
それでも、やはり外には出られなかった。

『……しげん…』

身体が震える。

『……なんで……』

なんで、こんなに―――。



初めてなのです。

(戸惑うばかりで苦しくて)








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