2ー2



 


『悪いね、鍾会』

「そう言うなら、さっさと扉を開けてくださいよ。手が塞がっていると言ったはずですが」

ドサドサと音をたて、竹簡が机の上に積み重なっていく。
出来上がった竹簡の山に、彩華は苦笑を浮かべた。

『ずいぶんとたくさん…』

「貴女なら、造作もないでしょう」

『んー、どうかな?』

「そうやって、すぐ誤魔化す」

不機嫌を隠す事もなく、鍾会は話す。

「知ってますよ」

『…………』

「前々から思ってたのですが、他人にとやかく言われたくないなら、一度貴女の実力を見せ付けてやれば良いのでは?」

『見せ付ける…』

「黙らせればいいんですよ。力ずくで」

『無茶苦茶だな……君は……』

「いっそのこと、戦の指揮でもとりますか?」

『それは、』

「ご心配なく。貴女には傷一つ付けませんから」

『自信満々じゃないか』

「当然ですよ。私は英才教育を受けてますから」

『ま、気が向いたらね…』



「………どうする…か…」

彩華と鍾会の話がなかなか途切れず、部屋に入るのを渋る司馬昭。

「子上殿、何してるの?」

「元姫……お前こそ」

「彩華殿と、お茶の約束してるの」

「そっか……こんなに皆が気にしてんのにな…」

「そうね…」

空を見上げ、二人揃って深く息を吐いた。



―NEXT―



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