1−1私の母は、元は女官だった。 父、曹操に気に入られ、側室となった。 末っ子の私は可愛がられた。 父も兄も、将達も可愛がってくれた。 でも、それが気に入らない者もいる。 陰口や、蔑むような目を向けられる事も多々あって……。 正妻には暴言を吐かれたり、手を上げられた事もあったか…。 初めは、父も兄もいるから大丈夫だと我慢してた。 でも、それに追い討ちをかけるように、私は入り込んだ刺客に襲われて……。 怖くて、部屋から出られなくなった。 初めの頃は、皆が心配して部屋にやって来たが、最近はわりと静かだ。 このままでいい。 このまま、静かに過ごそう。 父が死に、兄が死に、母も死に……… もちろん悲しい。 しかし、それでも外には出たくなくて……。 それなのに…… 「彩華殿」 あぁ、そういえば……。 まだ私に構う人がいたな……。 声が聞こえるのです。 (私の名前を呼ぶ声が) → br> >> |