その少女、国造りに奔走する
-過去話1−2-
『………』
「………」
しばらくして、廉夜は丸くなり昼寝。
元就はそんな彼女の横で、書物に目を落としていた。
その時―――
「読書が好きなのか?」
二人しかいないはずの空間に、第三者の声が響いた。
「…………」
顔を上げた元就は、言葉を失った。
彼の目の前にいるのは、白銀の髪をなびかせた男。
「何故…」
男の正体に気付いた元就は、静かに立ち上がる。
「そんなの決まってる。あんたを迎えに来た」
ニヤリと笑い、元就に向かって足を進める男。
「今まで何をしていた」
「何って……」
「王がおらぬと国が荒れていくのは理解しているであろう?!早よう来ぬか!愚か者め!!」
『む…?にい、さん…?』
元就の声で目を覚ました廉夜は、むくりと起き上がった。
「とんでもない、王様だな」
『おうさま…?』
首を傾げる廉夜の頭を一撫でし、元就は言い放った。
「さぁ、貴様の言葉で示せ!我が王であると!!」
瀬戸内王、選定.