その少女、国造りに奔走する
-過去話1−1-
『………』
「どうした?随分と不機嫌だな」
『にいさん…』
部屋の隅でふてくされていた廉夜に声をかけると、悲しげな瞳が返ってきた。
『おばさんが……おさんぽだめっていうの…』
「悪さでもしたか?」
廉夜の頭を撫でながら、元就は問う。
『ようまが、でたんだって』
「そうか……妖魔まで出始めたか……」
王が不在のために、荒れていく瀬戸内。
「まったく……この国の麒麟は何をしておるのだ……」
『だめだよ、にいさん。たいほのこと、わるくいっちゃあ…』
「………」
『おうさまがきまるまで、がまんする』
廉夜は散歩が好きだ。
しかし、妖魔が出るために禁止された。
「早よう、決まればよいな」
『うん…』
薄暗い空を、二人して見上げた。
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