その少女、国造りに奔走する
-後日談1−1-
女王の登極から十年と少し、あっという間だった。
彼女が宮にやって来てからというもの、枷をはめられ生活をしてきた。
その枷をやっと外され、二年ほど。
やっと元の生活に慣れてきた頃、女王に呼ばれた。
「………こいつらが、主上が言っていた…」
禁軍左将軍、黒田官兵衛の前には二人の青年。
「侑真、です…」
「蒼太です」
弟は戸惑いながら、兄は緊張した様子で名乗った。
「小生に任せるってか…?」
女王に任された兄弟を、黒田は苦笑を浮かべながら眺めた。
廉夜との約束どおり、兄弟は仕官した。
もともと素質があったのか、二人はあっという間に上っていき、こうして黒田の部下となった。
『やってるね』
「官兵衛などに預けるとは……」
さっそく訓練を始めた三人を眺めながら嬉しそうに笑う廉夜。
彼女の横で、三成は不機嫌そうに眉を寄せる。
『なんだかんだで、官兵衛さんは面倒見いいし』
「そもそも、何故枷を外した?」
『いいでしょ?十分反省してるし、力も付いた』
「なかなか良いではないか?」
乱入してきた冢宰にまでそう言われ、三成は何も言えなくなってしまった。
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