その少女、国造りに奔走する
-第74話-
「やっぱ、王宮のお菓子は違うな…」
侑真の家、小太郎にもらった菓子を二人で食べる。
「ところで、大丈夫なのか?」
『ん?』
「あんまりうろちょろしたら危ないだろ?」
『大丈夫!ね、左近』
廉夜の呼び掛けに、影から顔を出す左近。
「姉ちゃん、あのさ…」
先ほどまで、共に菓子を食べ和んでいた。
しかし、侑真は突然真面目な顔をする。
「俺さ、兄ちゃんと稽古してんだ」
『稽古…?』
「頑張るから……だから、もうちょっと待って…」
『………』
「強くなって、姉ちゃんを護るからさ」
真剣な顔で話す年下の少年に、不覚にもときめいてしまった廉夜。
照れ臭そうに下を向く。
「……っ…」
「た、台輔!落ち着いて下さい!!」
そんな二人に苛立ちを隠せない三成。
実は少し前に家の前に辿り着いていた。
「廉夜は私の…っ…」
「台輔…!」
麒麟の性とわかっていても苦笑せずにはいられない。
家の中に乗り込もうとする三成を、必死に止める蒼太。
『………じゃあ、私も……侑真君が来るまでに国や王宮内を整えておかなきゃね』
「約束だぞ?俺が来たときに荒れてたら許さねぇからな!」
『うん!お互い頑張ろう』
笑い合い、指切りをした。
『これからもっと、忙しくなるなぁ…』
その少女、
国造りに奔走する.