その少女、国造りに奔走する
-第6話-
『………』
「………」
互いに無言のまま、見つめ合う。
―――カツ
沈黙を破ったのは麒麟だった。
蹄の音を響かせながら、廉夜に近付いていく。
廉夜はというと、未だに動けずにいた。
―――カッ
廉夜の前まで来ると、麒麟は止まった。
そして、ゆっくりと麒麟はぬかずく。
『………っ…』
その意味を知り、廉夜は息を飲み、目を見開いた。
「………天命をもって、主上にお迎えする……御前を離れず、詔命に背かず、忠誠を誓うと…誓約、申し上げる……」
静かな河原に、麒麟の声が響き渡った。
「………」
何も言わない廉夜に、三成はだんだんと不安になっていく。
「……主上…?」
呼んでみるが、返事はない。
「主上?」
『………』
「しゅ――」
―――ジャリ
「なっ…!」
砂利を踏む音が響き、何事かと、三成は少し頭を上げた。
その目に映ったのは、駆けていく廉夜の姿。
「………チッ…」
舌打ちをし、三成は廉夜の後を追い、駆け出した。
その麒麟、少女を追う.