その少女、国造りに奔走する
-第72話-
『だいぶ綺麗になってきたよね』
城下を見下ろしながら、廉夜は呟いた。
まだまだ良いとは言えないが、瓦礫はすっかり消え去っていた。
「そうだな…」
『左近、あの辺ね』
「はい」
人気のない場所を指差し、降りるよう指示を出す。
指された場所へ、左近はふわりと降り立った。
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『瓦礫がないだけで、だいぶ変わるよね』
きょろきょろと辺りを見回しながら歩く。
『あっ』
「おい!」
露店を発見し、駆け寄る廉夜に、三成は慌てた様子で声をかけた。
しかし、もう彼女は露店の側。
「いらっしゃ―――しゅ、主上?!」
『街の様子を見に来たんです。私の事は気にしないで』
「は、はぁ……」
店主と話を始めてしまった廉夜を見て、三成も彼女の元へ。
「何か欲しい物でもあるのか?」
『そうじゃないけど、ちょっと見てみたいなって…』
二人で、品を見つめていると、三成が赤い石の付いた髪飾りを手に取って、廉夜に付けた。
「釣りはいらん」
店主に金を渡し、三成は廉夜の腕を引いて、その場を離れた。
『三成、ありがとう』
「貴様は簡素すぎる。もう少し身なりを整えろ。王なのだぞ」
『でも、』
「言い訳は聞かん」
『善処するよ』
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「ほぉ、秋色か…」
『秋…?』
宮に戻って、廉夜を見た大谷がぽつりと呟いた。
「黄朽葉色の髪に、赤い石の髪飾り………イチョウに紅葉。主上はなかなか風流よな」
『これは、三成が……』
「三成が?ヒヒッ……これは愉快、ユカイ…」
三成が髪飾りを選んだ。
ツボにハマったのか、大谷はひぃひぃと笑うのだった。
その少女、秋色.