その少女、国造りに奔走する
-第71話-
「どこへ行くつもりだ」
『みっ三成…』
騎獣の手綱を握ったところで、後ろから声をかけられた。
『街の様子が気になってさぁ…』
「なんのための目安箱だ」
『でも、ほら!ちゃんと自分の目で見なきゃ!』
廉夜は説明するが、三成は動かない。
彼女を逃がさないように廐舎の入り口に立ち塞がっている。
「何があるかわからんだろう」
『じゃあ、三成も行こう』
「……は?」
『一緒に行ったら安全でしょう?』
そう言って廉夜は手綱から手を離し、三成の腕を掴んだ。
『ほら、行こう!』
「おい、待て」
三成の腕をぐいぐいと引っ張りながら、廉夜は歩き出す。
「やれ、出掛けるのか?」
「刑部、止めろ」
「ヒヒッ……我に主上は止められんなぁ」
「刑部!」
「遅くならぬようにな」
『うん、ありがとう。吉継さん』
「……左近」
「はい」
諦めたのか、三成は抵抗を止め、左近を呼んだ。
「廉夜、行くぞ」
『うん、行ってきます』
二人で左近の背に乗り、宮を出た。
その少女、出掛ける.