その少女、国造りに奔走する
-第65話-
騒動からしばらくたち、瓦礫もほとんど目立たなくなってきた、ある日。
「廉夜ちゃんで良かった」
『え?』
ぽつりと呟いた慶次に、廉夜は首を傾げる。
「俺さ、先王とは……その、友達……だったんだ……」
苦笑しながら話す慶次。
『友達…』
「あぁ……秀吉も、最初は普通に国を治める事を考えてたんだ。でも、だんだんと力にこだわって……いつしか、どこにも負けない強い国を造るとか言い出してさ……」
『強い国…』
「半兵衛……冢宰も、秀吉に尽くす感じで……」
『そっか……』
「俺も、止めたかったけど……どうしたらいいかわかんなくてさ………結局、家康が……」
『もういいよ、慶ちゃん』
「え…?」
『泣きそうな顔してる』
「泣きそうって……」
『もういいから……話してくれて、ありがとう』
「……っ……」
そう言って、何も見ないようにそっぽを向く廉夜。
彼女の意図に気付いた慶次の手の甲に、滴が一粒落ちた。
風来坊、告白.