その少女、国造りに奔走する
-第5話-
「………」
宮に戻った元就は、書簡に目を通していた。
「主上」
すぅ、と現れた使令に、元就は持っていた書簡を机に置く。
「どうした」
「実は……」
元就の耳元でひそひそと話す使令。
「……何?」
使令が言った言葉に、元就の眉間に皺がよる。
「摂津の麒麟だと……」
麒麟の報告は、摂津の麒麟がこの国に来ているということ。
噂では、王を探しているとか―――
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元就が帰った後、廉夜は河原に来ていた。
読書の次に、散歩も好きな廉夜。
河原をゆっくり歩いていた。
その時―――
――――カツンッ
高らかに響く、蹄の音。
『え……』
顔を上げた廉夜の目の前には、白銀の鬣をなびかせる麒麟。
元就の麒麟、元親も白銀の鬣である。
しかし、その麒麟は元親とは違い、月色の瞳で、廉夜を見据える。
『………』
廉夜はその麒麟の姿に目を奪われ、動けずにいた。
その少女、
麒麟と出会う.