その少女、国造りに奔走する



-第64話-



 
ぽつり、ぽつりと話し出す家康。

「ワシは、見てられんかった……民が、三成が、苦しんでいるのを……」

「貴様っ…」

そんな彼に、三成は敵意むき出し。

「王を殺す事がどれほどの大罪だとっ…」

「わかってる、つもりだ………王と麒麟の繋がりの深さは………ワシとて、王だからな……」

眉を寄せ、切な気な顔をしながら、話す家康。

『三河王…』

「前のように、呼んでくれないか?」

『……はい、千代さん』

笑って呼ぶ廉夜に、家康も笑顔になる。

「もういいだろう。貴様の話など聞きたくない」

『ちょっと…』

話の区切りがいいところで、三成は廉夜の腕を引いた。

そして―――

『―――――っ!!』

彼女を抱えて、見張り台から飛び降りた。

『みっ…みっ…』

突然の事で喋れない廉夜を見下ろして、笑う家康。

そんな彼を、見張り台の下から、三成は睨み付けた。



その麒麟、
敵意むき出し







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