その少女、国造りに奔走する



-第63話-



 
「廉夜は不思議な奴だな…」

隔壁の上、見張り台に家康はいた。

その横には、人型になった三成。

「そう睨まんでくれ」

「秀吉様にした事、忘れたとは言わせん」

「ワシは、ただ…」

『三成!』

家康が口を開いた瞬間、廉夜が駆けてきた。

『うわっ!』

彼女を視界に入れた途端、三成は腕を掴み抱き締めた。
まるで、家康から離すように。

『ちょっと…』

「近寄るな、家康」

「……三成…」

「もう、失うわけにはいかない」

『………』

ぎゅう、と強く抱き締め、三成は家康を睨み付ける。

『大丈夫、離して』

ぽんぽんと三成の背を叩き、彼から離れた。

『すみません、三河王』

「……三成に聞いたのか?」

『左近……使令から聞いてました』

「そうか」

『あなたは、何故…』

「ただ、国の様子を見たかったんだ」

未だに睨む三成に苦笑しながら、家康は答えた。

「先王を殺した罪は大きい……せめて、この国の行く末を見届けねば…」



その青年、話し始める






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