その少女、国造りに奔走する
-第60話-
「主上、あ……あの……」
女王に縄をかけてしまった事に、郷長は震えながら声を出す。
「何をしている」
震える郷長に、三成は容赦なく、低い声で話しかけた。
「主上の御前だ」
はっとした郷長は、慌てて膝をつく。
彼にならうように、次々に兵士が膝を折ってその場に叩頭していく。
『侑真君……お兄さんの所に行って』
「え、あっ…」
廉夜に言われ、侑真は蒼太のもとへ走った。
『さて、と…』
侑真を見届け、廉夜は郷長に振り返る。
「あ…あの、主上…っ…」
『勝手に税を上げた』
「―――っ」
『民を虐げた。私を牢に入れた』
「そ、それは…」
『あぁ、暴言も吐かれた』
指を折りながら、郷長がやった事を数える廉夜。
『郷長、』
「は、はい!」
『あなたには、タダ働きしてもらいますから』
「………は?」
てっきり、捕らえられるものと思っていた郷長は、ぽかんと口を開ける。
『罵声を浴びせられたり、物を投げ付けられたりするかもしれません。それでも、何も返さず、自分がやってきた事を深く反省し、民に尽くして下さい』
「………」
『もちろん、見張りは付けます』
「………」
『返事は?』
「かしこまりまして」
『ではまず……瓦礫をどうにかしますか』
瓦礫の残る街。
まずは街づくりから。
その少女、命じる
最初は原作みたいに禁軍を出そうかと思ったんですが、刑部様も官兵衛さんもヒロイン側なので、郷長だけにしました。
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