その少女、国造りに奔走する
-第57話-
「姉ちゃん、ごめん…」
『いや、追いかけてきた私が悪いし……自業自得だよ』
「兄ちゃんは大丈夫かな…」
『捕まってないみたいだね……』
荷車に乗せられたのは自分達だけ、どうやら蒼太は逃げたようだ。
「きっと、兄ちゃんが助けてくれるよな……」
『きっと、ね…』
侑真を安心させようと頷く廉夜だが、蒼太が危険な事をしないか心配していた。
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「廉夜が捕まった…?」
「………」
そのころ、蒼太は孫市のもとにいた。
人に聞いて、彼女が孫市の世話になっているのを知ったようだ。
「それは本当か?!」
「見付からないと思ったら…!」
ちょうど、家康と慶次が帰ってきた。
「いったい、何があった…?」
「それは……」
蒼太は、ゆっくりと話し出した。
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『行ったか……』
廉夜は牢に入れられていた。
見張りが去ったのを確認し、息を吐いた。
『左近』
「はい、主上」
『やって欲しい事があるんだけど』
「なんなりと」
気付かれないように、廉夜は小声で説明を始めた。
その少女、
牢屋に入れられる.