その少女、国造りに奔走する



-第52話-



 
『…………』

翌日、廉夜は家康、慶次と街を歩いていた。

家康も使令を連れているだろう。
ばれないようにというのもあるが、宮の様子も気になるので、左近には離れてもらい、宮に向かわせた。

「あれは…?」

家康が立ち止まる。
彼の視線を追うと―――

『何か、あったのかな』

そこには人だかり。

「……進めんなぁ…」

良い体格の男二人。
前には進めず、様子が窺えない。

『私、見てくる!』

「廉夜ちゃん、気を付けろよ」

『大丈夫』

ここは、小柄な廉夜の出番。

うまく人の間に入り込み、前へ進む。

『………え…』

人をかき分け、進んだ先には、あの郷長。

「貴様、いったいどれだけ滞納する気だ?」

「申し訳ありません。しかし、うちは―――」

「言い訳などよい!」

「可哀想になぁ…」

いつの間にか、廉夜の横には、先日会った初老の男性。

『何があったんですか?』

「あぁ…嬢ちゃん、また会ったな。あの人んちは貧しくてな……税を滞納しとるんだよ…」

男性から話を聞くと、この地区は税が高いと言う。

『え…』

おかしい。
男性に聞いた税は、廉夜が設定しているのよりも高かった。

『勝手に上げた…?』

「嬢ちゃん、どうした?」

『いえ、何も…』

思わず、顔をしかめた廉夜。
声をかけてきた男性に、慌てて苦笑した。



城下にて、発覚






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