その少女、国造りに奔走する



-第49話-



 
『あれは…?』

人だかりを見付け、廉夜は近付いていく。

「また貴様か、小僧」

「うるせぇ!!」

人々の間から、様子を窺うと、探していた少年と郷長が言い争っていた。

「郷長だからって、偉そうに……!!」

「何だと…?」

「偉い奴は皆そうだ!威張って俺達を…………あんた達全然変わらねぇ!!今の王様も、きっと前と同じなんだ……」

「きっさまぁ!!いくら子供といえ、主上を愚弄するとは許されぬぞ!!」

郷長は持っていた剣を抜き、少年に振りかざす。

「―――っ?!」

さすがに身の危険を感じたらしい少年は尻餅をついた。

『お待ち下さい』

「何だ、小娘」

廉夜は少年を庇うように少年と郷長の間に立った。

『確かに、彼はとんでもない事を口にしましたが……』

「それがわかっているならば、どけ!」

『郷長ともあろう方が、気が短すぎやしませんか?』

「なんだと……」

『子供の戯言にいちいち剣を抜くような短気な方が、緊急時に適切な判断ができましょうか?郷長様、もう少しおおらかでなくては、周りの方々に愛想を尽かされてしまわれますよ?』

「小娘!!」

今度は廉夜に剣の切っ先を向ける。

『今、私が言った言葉、伝わりませんでした?このままでは、反乱が起こっても文句言えませんよ?』

「―――くそっ!帰るぞ!!」

廉夜を睨み付け、郷長は帰っていった。

『…………はぁああ……』

気が抜けたのか、廉夜はその場に座り込んだ。

「震えてるじゃないか。姉ちゃん、無理しすぎだろ」

『君こそ、剣を向けられて尻餅ついてたじゃない』

「うるせぇ!!」

顔を赤くして叫ぶ少年に、廉夜は笑う。

「いや、すごいな。先程のは驚いたぞ」

そこにやって来たのは、体格の良い青年。

「ワシは徳―――あぁ、竹千代という」

そう言って、青年はにっこりと笑いながら手を差し出した。



その少女、
青年に出会う







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